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イガチョフ

喫茶店開拓

ゴールデンウイーク初日の土曜日は晴天に恵まれた。気温も上昇し夏日となった。あてどなく街をふらついてみたが、結局いつも立ち寄る喫茶店でコーヒーを飲んだ。前回も同じアルバイトの女の子がカウンターに立っていたが、こちらから挨拶しても反応が悪い。「今日は暖かいですね」と声をかけても、「そうですね」の一言で終わる。はっきりいって感じが悪い。コーヒーを淹れてその後は店の奥に隠れて出てこない。せっかくカウンターに座ったにもかかわらず居心地の悪い思いをした。意味もなくスマホをいじって時間をつぶすしか他なかった。店の前でフリーのお客さんが立ち止まっても、その店員は何のアピールもしない。入りづらい雰囲気一杯で客が寄り付かない。店員の代わりにそのお客さんに声をかけると、「何か食べる物はありますか?」と訊ねられた。「チーズトーストと焼き芋ならありますよ」と説明すると、「他も見てきます」と立ち去った。やはりお客さんには一言かけるのが礼儀である。お客さんが何を欲しているかは話さない限りわからない。この喫茶店は資本が地元の大手企業のもので、売り上げが悪くても経営には何の支障もない。これが従業員のやる気をそぐ結果になっている。せっかく美味しいコーヒーを提供しているのに、居心地のいい時間が過ごせないのはもったいない。店の評判を落とすコメントは今のところ目に付かない。店の看板を背負う要の人間がいないので、固定客が増えない原因になっている。こんな店には行かなければいいのだが、本店の社長に懇意にしてもらっているので定期的に顔を出していた。実態を報告するつもりはないが、珈琲一杯に500円も出しているのだ。匿名でクレームの一つや二つ入れたくなる。ひょっとしたら自分だけがうるさい客としてマークされ、そっけない対応をされているのかもしれないという場合も考えられる。大人しく黙ってコーヒーを飲むのならジャズ喫茶を選ぶ。今日を最後にこの喫茶店には行かないことに決めた。喫茶店の開拓にはお金と時間がかるのだ。

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