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イガチョフ

困ったものだ

 腰をすえて一つのことをやり続けることは大事だ。自分は飽き性で、見切りをつけるのが早い。今までいろいろなアルバイトをしたが一年と持ったことがない。改めなければならないのはわかっているが、崖っぷちに立たされないと直りそうもない。もう18年もぬるま湯に浸っている。堕落しきって、もうどうにでもなれだ。現実から眼をそらすことで生きながらえている。社会のお荷物でしかない自分は生きる価値はない。子供たちを社会に送り出すことが仕事だと思いたいが、そんなことは当たり前すぎて笑われる。随分悲観的な考えだと思われるかもしれないが、余計なことを考えてしまう時間が多すぎるのが一番の原因だ。時間は有限で大切にしなければならないが、無駄なことに費やしてしまう。何も疑うことなく仕事をしている人が羨ましい。仕事は食べるためにしなければならないが、けっこうこの国は働かないで食べていける人が多いのも事実だ。「働く者が馬鹿を見る」というよろしくない言葉もあるぐらいだ。働いたら生活が成り立たないケースもある。いわゆるワーキングプアだ。我が家もこれに該当する。働いたら、子供たちが学校へ行けなくなってしまう。家でごろごろしていると具合が悪くなる。収入に結びつくわけではないが、まけまけで過ごすことは精神衛生上とてもいい。朝早起きしてバス地下鉄に乗ってまでしてまけまけに通うのは、まけまけに魅力を感じるからだろう。今の自分に必要な場なのだ。50歳にもなって情けない話であるが、自立という言葉からは程遠いところにいる。もちろん人に頼りながら自立することが大事で、まけまけのスタッフに肩を貸してもらっている。再起を図るほどダメになってはいないが、堕ちるところまで堕ちたら這い上がるだけだ。こうなってしまったのは誰のせいでもない。また不幸ともいえない。小さなことに喜びを感じるぐらいだから良かったとさえ思える。この程度の悩みは生きるために必要な毒なのかもしれない。悩みを接種し免疫反応が身を助けるようなものだ。

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