ゴールデンウィークが終わった。魔のゴールデンウィークだった。おおぼけもいいところで、図書館に返却しなければならない本を延滞してしまった。娘から「パパ、本の貸し出し延長したよね」と言われはじめて気づいたのだった。焦って返しに行ったところ、「これから気をつけてくださいね」と窓口の女性に優しく注意されるにとどまった。こんな失態人生で初めてだった。毎日が休みになると日付の感覚を失う。普通だったら長期休暇はありがたいが、自分の場合、朝起きる理由がなくなるためリズムが狂ってしまう。子供たちも昼近くまで布団の中だ。トイレも行かないし、喉が渇いても我慢だ。ご飯も作りたくない。買出しに行ってないので冷蔵庫の食材が尽きている。冷凍庫の肉や魚を調理するしか方法がない。毎日欠かさないで食べている納豆すらない。顔をさすると髭が伸びている。起き上がりカーテンさえ開ければスタートを切れるが、踏ん切りがつかない。こんな朝を毎日過ごしていたので休みが明けてよかった。これ以上長引いたら変な病気になってしまいそうだ。療養のために入院する人もいるが、自分にはまねできない。いきなり普通の生活に戻るのも大変だ。今日は5週間ぶりのメンタルの受診日だ。朝一番の予約時間なので寝坊は許されない。「休暇疲れ」という言葉は自分には当てはまらない。子供たちを連れてレジャーに出かけたのではなく、ただアパートにこもっていただけだからだ。何もしないのに疲れるとはどういうことだろう。寝てばかりいたので身体の節々が痛い。「疲れる」というより「へたばる」といったほうが適切かもしれない。こんなことを主治医に話したところで、どうしようもない。いつものように子供の話をして終わってしまった。ゴールデンウィーク前は、この休みを使って村上春樹の長編小説を読破しようと目論んでいたが、一行も読まずに終わった。次はお盆休み対策だが、暑さ対策もかねておかないといけない。朝の歯磨きと髭剃りをルーティンにするしか解決方法はないだろう。
イガチョフ