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イガチョフ

仮想英語

まけまけでは英語の講師役を請け負っている。生徒側のTさんはビートルズの曲を、意味を理解しながら楽しみたいという目標を掲げている。今まで中学生の英語教科書をテキストに学習を進めてきた。一年生の英文法はざっと学ぶことができた。Tさんは、中学から大学まで英語に触れていたこともあって、記憶の糸を手繰り寄せて英文法を学び直した。北海道新聞に高校生向けの英語記事が掲載されている。日本語訳と単語の意味も添えられていて、英語学習の教材として高校の授業でも使われている。少しレベルが高いが、Tさんたっての希望で、この英文記事の翻訳にも挑戦した。講師である自分は文法の知識もあやふやだし、語彙力も自信がないままに教えている。五文型の分析ができるので、こまごまとした文法や構文をあまり気にせずとも理解できる。あとは単語の意味で、これは辞書を片手にしらみつぶしに調べるしか手がない。すらすらとまでは行かないが、英語の読解力があるように見えるのだろう。Tさんも、辞書を使って独力で翻訳したいという。英語を日本語に翻訳するという学習方法は日本の悪しき英語教育である。人工知能の技術が進んだ現在、そんなことは機械でできることだ。こんなことだから、いつまで経っても英語が話せない。「英語は英語のまま理解しよう」ということをTさんにも知ってもらいたい。ということで、中学生でも翻訳できるビートルズの曲を引き合いに出した。代表作“Hello,Goodby”これを日本語にしてもらった。「こんにちは。さようなら」これでは、三波春夫の「世界の国からこんにちは」と間違われそうだ。これには一同大笑いしてしまった。立場は生徒と講師で違いはあるが、ともに年齢も行ってしまい頭が固い。新しいことを記憶するのは無理と断言できる。頭の使い方が変わるのは仕方がない。英語をことさら価値あるものとする風潮こそ改めなくてはならない。真のグローバル化とは一体化ではなく、多様性を認めることではないだろうか。英語一辺倒の文化はつまらない。

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