春間近ということで、日差しが強くまぶしい。雪解けが進み、道路のあちこちがぬかるんで歩くのが大変だ。防水スプレーをかけないと靴がしみてしまう。その日の気温を見ながら靴を履き替えなければならない。これからは雨交じりの天候になる。折りたたみの傘を鞄に忍ばせることも必要だ。朝の冷え込みもゆるくなったとはいえ、ダウンジャケットは手放せない。真冬のまけまけは少し肌寒く厚着しないといられなかったが、このごろは長袖のシャツを羽織っても寒さを感じないばかりか、汗をうっすらとかいてしまう。まけまけのメンバーも春の陽気に誘われて表情が穏やかだ。登校前に散髪を済ませたKさんはすっきりした様子だ。今時の床屋は3千円以上も取られるのが当たり前だ。1000円のカット専門店も値上げで今は1300円以上する。クリームを塗った顔に蒸しタオルをかぶせる時は天国の心地がする。もう10年以上カット専門店でしか髪を切っていないので、奮発して普通の床屋に行きたいところだが、やはり家計のことを考えれば諦めなくてはならない。まけまけメンバーの一人のTさんは、かつて某大手百貨店にあった床屋で働いていた経歴を持つ。大学出ではあるが、手に職をつければ食いはぐれないからということで、この業界に飛び込んだそうだ。病に倒れ、今ははさみを握る機会はないが、今でも当時の先輩が経営する床屋に足を運びカットしてもらっている。とても面倒見のいい先輩のようで、親身に相談に乗ってくれるそうだ。理容室も美容室も苦手意識を持つ人は多い。何せ、こちらがイメージする髪型を言葉で説明しなければならないからだ。イメージする髪型に近い芸能人の名前を挙げるのもはばかれる。一番の解決策は、気に入った髪型をスマホで写真に収め、そのつど「こうしてください」と伝えることだ。知り合いで、鏡を見ながら自分で髪の毛にはさみを入れる人もいる。まさに散切り頭で、そこまでしなくてもいいのではと思ってしまう。
イガチョフ