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イガチョフ

古新聞

 世の中で何が起こっているか皆目わからない。それもそのはずテレビニュースは見ないし、新聞も購読していない。お隣韓国の大統領の名前すら知らない。まけまけの社会の授業で時事問題を取り上げるのだが、それが唯一の情報源だ。難しいことはわからないが、50年も生きていればなんとなく世の中のからくりが見えるものだ。大体似たような事件しか起こらない。「またか」と呆れてしまう。知ったかぶりをして周囲の人間から嫌われるぐらいなら、「自分は何も知らないので教えてくれませんか」と素直になったほうが人間関係は上手く回るだろう。まけまけの男性メンバーは社会問題を論じるのが好きだ。まけまけに朝刊を持ってきて授業の準備に取り掛かる。手を抜かないのだ。新聞を隅から隅まで目を通すには時間がかかる。芸能欄やスポーツ欄など余計な記事も多い。それらを省いても読破するのに2時間はかかるだろう。毎朝その時間を確保するのは難しい。昔のように通勤途中の地下鉄やバスの中で新聞を広げる人の姿を見なくなった。せいぜい土曜日と日曜日の朝、スポーツ新聞を片手に歩いている年配の男性を見かけるぐらいだ。もちろん競馬がある日だ。競馬の専門紙は割高なのでスポーツ新聞はお手ごろ価格だ。夕刊が発行されなくなったのも新聞社の生き残りのためであろうが、夕刊の必要性はあるはずだ。新聞の賞味期限は12時間ばかり。夕刊もなければ新鮮な情報を読者に届けられない。新聞の値上げも相次ぐ。理由は用紙代、電気代、インキ代、燃料代、などの原材料費の高騰でコストがかかってしまうからだという。ここまでデジタル化が進むと、新聞は手間がかかりすぎる時代遅れの情報媒体だ。まけまけではホームページの充実の他、学生による新聞紙作りも試みられている。規模が小さいので費用は微々たる物だ。アナログとデジタルの使い分けが大事だ。まけまけはアナログ派が多い。単に最先端の情報機器についていけないだけかもしれない。時代の波に遅れてしまった感があるのは確かだ。

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