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イガチョフ

確認癖

「あれ?扇風機のスイッチを消してから出かけただろうか?」アパートを出てしばらく通りを歩いてからそんな不安に駆られた。たぶん消したはずだろうが引き返すことにした。部屋に戻ると扇風機は止まっていた。何だ。いつもの取り越し苦労か。自分は確認癖が強く、玄関のドアの戸締りはしっかりドアノブをガチャガチャ動かして施錠を確認する。それでもいつも不安に駆られアパートを離れて20メートルも歩かないところで再確認のために引き返すことはしょっちゅうだ。戸締りは必ずされており、今まで鍵のかけ忘れをしたことは一度もない。それでも不安になる。一度水道検診でトイレのタンクの水漏れのために万単位の請求が来たことがある。これはタンク内の浮きがずれていて水漏れしていたため、こちらの不備ではなく支払いは免れた。しかし、それ以来ひどくトイレの水の流れの音に敏感になってしまった。最後まで水が流れきりタンク内の水がたまり水道が止まる音がするまで耳をそば立てる。自分が留守にして子供たちだけ留守番している時、もし水が止まらなかったら困るが、そういう場合は子供たちには水道の元栓を止めるように教えて対処した。今まで子供たちだけのときにトイレの水が止まらないことは一度もない。冬場はガスストーブのスイッチを消したかどうかが曖昧になる。ガスの元栓までひねっているのだからつけっぱなしであるはずはないのだが不安になる。自分でもつまらないことだとわかっているが、そのことに囚われて何度も同じことを確認してしまう。確認癖は悪いことではないが、度が過ぎると日常生活に支障をきたしてしまうから厄介だ。昔は玄関に鍵などかけなくても外出先で不安になることはなかった。今、何が盗まれて心配かと言えば、パソコンだ。データが入っているので、パソコンを持っていかれるのが一番の被害だ。バックアップは二重にしているが、整理がへたくそでこんがらがってしまう。データは重さがないが、膨大な情報量だ。これを管理するのは神経が磨り減る。

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