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イガチョフ

ウソ

「折れた煙草の 吸い殻で あなたの嘘が わかるのよ」中条きよしの「うそ」という歌だ。今日はエイプリルフール。今日一日は嘘をついてもいい日とされる。日本語で言えば「四月馬鹿」となる。子供ではないし社会人が嘘を付いて許されるものか確かめようとも思わない。ときどき無駄なことをすることは人間関係の潤滑油になるのであろうか。自分もけっこう嘘をつくタイプであるが、最近は話す先からスマホで検索されるので嘘がばれてしまう。「何やっているのですか?」と訊ねられても誤魔化しが効かない。まさか「無職だ」とも言えず、「福祉事務所でホームページのブログを書いたり、広報誌を作っています」と逃げる。お金にはならないが半分本当の話だから許されることだろう。いつの日か嘘をついていたことを詫びるときが来るだろうか。正直に履歴書を書けないくらい職歴がない。困った物だ。アルバイトを転々としてきた結果だ。人に自慢できる物は何もない。先日20歳の誕生日を迎えたAさんに、自分の20代の話を披露した、滅多に話した事がない失敗談の数々に驚かれた様子だった。50歳にもなれば落ち着きは出るが、身体に染み付いた恥の意識は拭い去れない。Aさんのようなうぶな女の子を前にするとついからかってしまいたくなる。中途半端に世間ずれする前にしっかり大人の心得を身に付けてもらいたい。Aさんは最年少で大人のサロン的なまけまけに上手く馴染めるか心配されたが、いざ蓋を開けてみればすぐに仲間に溶け込んでいった。まけまけのスタッフが個別で対応しているため、メンバー間の横のつながりは薄い。しかし、授業も学食の時間も同じテーブルを囲んで話は弾む。嘘を前提とした男女の擬似カップルである自分とSさんとの呼吸はぴったりだ。あまりに自然な付き合い方なので若いAさんは本当の恋人同士だと思ってしまうぐらいだ。悪い癖だ。哀しくなってくる。けれど今日は優しい嘘をつきたい。嘘のように聴こえるが、まけまけはくせになることだけは本当だから不思議な所だ。

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