top of page
イガチョフ

決断

部屋の整理をしようと思い立っても、どこから手をつけていいかわからない。右から左へものを移動することを片づけとは言わない。広い家ならますますものは増えていく一方だ。一部屋を物置部屋につぶしてしまう家庭が多いだろう。収納スペースを設けて整理したところで解決には至らない。一体人間が生活するのにどれぐらいのものが必要なのだろうか。ものに囲まれていると安心感を抱く人もいるかもしれない。ゴミ屋敷なんか、周りには迷惑かもしれないが、当人にとってあれはあれで落ち着くのだろう。中途半端にお金を持っているから、ものを買い込んでしまう。ものが溢れる時代である。企業は魅力的な商品を開発する。それをテレビCMで繰り返しアピールする。消費者の購買意欲はとどまるところを知らない。「断捨離」がはやり言葉になったときもある。部屋が整理されれば心の健康にも繋がる。余計なものを手放すことで得られるメリットは大きい。ゴミのようなものでも所有者にとっては大切なものかもしれない。結局ものはゴミになる運命だ。お金を出してゴミを買っているに等しい。何も持たずにこの世に生を受け、何も持たずに死んでいく。生きるとはなんて無駄が多いのだろう。決意新たにものを捨てるときが必要だ。今日は燃やせるゴミの収集日なので、10リットルのゴミ袋に不要な衣類をまとめてみた。よれよれのTシャツやサイズの合わないカラーシャツではあるが愛着があり、まだ着られそうだなと未練が湧く。そんなことを言っていれば何も捨てられないし、衣類はまだまだワードロープや箪笥に山ほど収納されている。何でまたこんなに買ったのだろうと首を傾げたくなるが、買ってしまったものは仕様がない。これではお笑いファッションショーだ。対策として、これ以上買わないことだ。もし買うとしても、それと入れ替わりで古い衣類は捨てることにしよう。これから計画的にものを捨てていこうと思う。ものを大事にすることで、抱えきれないほどの数のものに苦しめられるのは本末転倒だ。

最新記事

すべて表示

恋花

夏ばてで休んでいるSさんは、いつもなら底抜けに明るい女性だ。一人住まいであるが、大好きな花に囲まれて上機嫌でいる。まけまけ開業一周年のお祝いの花もボリュームがありつつもしとやかな飾り花だった。我が家には花瓶がなく、花を生けられないが、代わりに絵画を飾っている。4点ある。初め...

確認癖

「あれ?扇風機のスイッチを消してから出かけただろうか?」アパートを出てしばらく通りを歩いてからそんな不安に駆られた。たぶん消したはずだろうが引き返すことにした。部屋に戻ると扇風機は止まっていた。何だ。いつもの取り越し苦労か。自分は確認癖が強く、玄関のドアの戸締りはしっかりド...

ほぼトラ

息子の高校は校舎内ではスマホの使用を認めていない。だから昼時に息子からラインが入るとびくりと身構えてしまう。今回もメガネのトラブルに見舞われた。体育の授業中の事件だった。バレーボールの授業で出番を待ってコートの外で座って待機していたところ、コートからボールが飛んできて顔面を...

bottom of page